About 事業概要
Greeting 委員長からの挨拶

未来を創る
データプライバシーのエキスパートへ
皆様
金沢大学大学院人間社会環境研究科における「データプライバシー・エキスパート養成プログラム」の開始にあたり、ご挨拶申し上げます。
インターネットが普及しグローバル化した世界の中にあって、日本での新価値創造が世界に遅れている原因のひとつに、デジタルデータ分野の発展の遅れが挙げられます。インターネットをはじめとするオンラインデータの多くは個人特定情報を含むため、そうしたデータの多くは利用が制限されてきました。プライバシーデータは必ず守られるべきです。しかしまた、そういったデータには多くの情報が含まれています。データへのアクセス制限はデータに触れる機会を減少させ、データ活用の機会を不足させています。こうした問題を解決するため、本プログラムは個人情報を保護しながらデータを利活用する「データ匿名化」技術とそれによって生成されるデータの分析方法、データ調査技術や関連する法知識等を文系修士に授けることを目指しています。
本プログラムは、技術・法・データ分析の三要素を兼ね備えた教育を提供する日本初の試みをもったプログラムです。金沢大学大学院人間社会環境研究科及び法学研究科の5専攻において開設されます。各専門分野におけるデータ収集やその意味の理解をもとに、多様な分野の学生が集って問題を共有し、実習やインターンシップを通じて問題解決能力や創造性を涵養します。また、総務省統計局出身の実務家教員を迎え、実践的な指導を行います。
金沢大学は「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」という理念のもと、デジタル活用と異分野横断型教育を推進しているところであり、本プログラムは、データサイエンス教育の新たな標準を確立し、データプライバシー研究と教育の拠点形成を目指します。
修了生は、データプライバシー・エキスパートとして産業界や公的機関で重要な役割を担い、グローバル社会における新たな価値の創出に寄与することが期待されます。また、本プログラムでは、多様な分野での活躍を見据え、幅広い分野における学生の応募を期待しています。
皆様からの本プログラムへご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(⾦沢⼤学「データ匿名化✕⽂系修⼠号=価値創造」
⼈材育成事業推進委員会委員長)小島 治幸
About Project 事業内容について

新しい社会の在り方や製品サービスといった、日本における価値創造の不足が、内閣策定の「AI戦略2022」で重大な問題として指摘されています。その根本的理由の一つに挙げられるのは、個人情報等へのアクセス制限により分析習熟機会が不足し、ミクロデータが利活用されていないことです。そういった原因・問題の解消を目的として、本学では高度な価値を司る文系修士を対象に、「匿名化」技術を修得できる文系人材教育プログラムを構築しました。「プライバシー保護技術」、「匿名化実務を定める法の知識」「5専攻の問題意識による利活用」の3要素をすべて学べる教育課程は日本初。文系人材がデータ活用スキルを身に付け、新たな価値を創造する力を育成します。人文、法学・政治学・経済学、地域創造学、国際学という修了生の多様性と相まって、産官学のミクロデータを持ち寄った協働が可能となり、新たな価値共創社会への発展が期待されます。
Purpose 事業目的

ミクロデータへのアクセス制限、学修機会の不足、データ利活用人材の不足という悪循環の構造を改善するため、本事業では高度な「匿名化」人材を養成します。これにより、ミクロデータへのアクセス制限の緩和や各業界からのデータ供給を促し、さらなる価値創造人材を輩出する仕組みをつくります。「技術」「法」「データ分析」を修得した本プログラムの修了生は、ミクロデータ利活用を促進する社会制度のデザインが可能になります。長期的な目標として「価値共創社会」の実現を見据え、修了生によるネットワーク「価値創造の会」を設立。データプライバシー・エキスパートを結集し、社会変革の核を形成していきます。さらに、本プログラムを通じてデータサイエンス教育の新たな標準を確立し、国内外で教育・研究の拠点となることを目指します。
Structure 組織体制

本学大学院人間社会環境研究科が事業推進委員会を設置して事業を統括。委員には本研究科の4名の専攻長と法学・政治学専攻長、本学数理・データサイエンスAI教育センター・センター長も加わり、学士課程—大学院課程の接続をなす教育カリキュラム開発と編成を担います。総務省統計局出身の授業担当者が雇用され、インターンシップは地方公共団体、NPO、企業等との連携のもと実施されます。